チーズのある幸せな食卓を、豊かな田舎からお届けしたい
2020年春、十勝地方・新得町という日高山脈と大雪山系の間にある小さな田舎町。北海道の真ん中で私達は産声を上げました。朝焼けや夕日がとても美しい山の麓にある、オレンジ色の鮮やかなチーズ工房です。


放牧酪農家さんと二人三脚のチーズづくり

フランスのローヌアルプス地方サヴォワ県にて、牛や山羊のチーズ農家、製造所や国立乳製品学校でチーズ製造研修を受け、そこでは大自然の中で粗放的な放牧酪農とチーズづくりの伝統的牧歌的生活を体験しました。
その経験から、新得町広内地区の2軒の放牧酪農家さんとともに2人3脚で“チーズづくり”をはじめました。
放牧牛からだから分かる季節感があります

放牧された牛たちは、放牧地を転々とするので、乳質が変わります。濃くなったり薄くなったり。しかし、そのおかげで放牧牛でつくるチーズでは、季節を感じることができます。春のミルクには若葉の香り。夏は爽やかな中にもたんぱく質が熟成したうま味。秋のミルクにはワラやナッツのような香り。冬は濃厚なねっとりしたクリーミーさ。それぞれの季節で、魅力ある味わいの表情に変えてくれます。
チーズのあるしあわせな食卓を、豊かな田舎からお届けします


小さな子供にも喜んでもらえることが私達のチーズ作りが大切にしているコンセプトの1つです。チーズの魅力に出会ってから約20年以上、チーズの世界にすっかり魅了されています。チーズを食べる、チーズをつくる、チーズに触れる。すると、誰でも自然とほころぶくらいの“素敵な笑顔”に出会えます。不思議な魅力のある食べ物だなあ、とつくづく感じます。チーズの原料となる生乳は”幸せホルモン”と呼ばれるオキシトシンの分泌と大きく関わっています。そんな所にも幸せな食卓を作れる要因があるのかも知れません。

チーズのある幸せな食卓を、豊かな田舎から。
私達のチーズにはそんな想いを込めて皆様にお届けしてまいります。
原料乳を提供いただいている放牧酪農家さん
関口牧場

【あくまで牛ファーストの営み】
新得町広内地区の関口牧場。平成20年から放牧酪農を始め、数名の従業員とともに現在は子牛から親牛まで全部で120頭を飼育してます。
「牛は喋れないじゃないですか。だから体調が悪いのも人が見て判断するしかない。なのでとにかく牛を見るようにしています。」と語るのは代表の関口さん。
「牛を大事に、牛ファースト」が関口さんが酪農で大切にしている大きくて太い軸。これは一見当たり前の事のように思えますが毎日変化のある生き物と接する仕事。気を抜けません。
「病気や体調などは早めに発見して早めに対処するようにしています。搾乳牛はお産した直後、1週間から10日くらいが一番体調を崩しやすいので、そこで食欲不振がないか、体調不良がないかをしっかりと見ていきます。」とまっすぐな目で話す関口さん。そうやって早めに対処して牛に長生きしてもらう事で、人も牛も幸せな生活を送れると言います。
また乳質についても定評のある関口牧場。それについては「しっかりした餌を与えていればしっかりとした質の良い牛乳になる」と、涼しい顔。
牛は草だけを食べていればいいかというとそうでもなく、穀類も必要としており、牧場の環境や牛の性質、体質によってバランスよく与えていかなくてはいけません。関口牧場では餌を検査に出すなどして、要素として足りないものを餌屋さんと相談しながら関口ミックス餌を作っているのだそう。 「ほかにも半日放牧といって夏は涼しい夜間に放牧をし、日中は北海道でも暑くなりますので屋根の下で餌を食べてもらいます。」と牛ファーストには余念がありません。
【牛の健康を考えたら放牧酪農に勝るものはない】
そんな関口さんですが日々の仕事の中で、牛の世話をし、お乳を搾って集乳車で集められているだけの作業には少しばかりの不満を持っていたよう。そんな時に「広内エゾリスの谷チーズ社」のチーズを作るために生乳を直接出荷する、という話を持ちかけられたのです。
「僕らの仕事って普通は誰が買って飲んでくれているのかわからないじゃないですか。エゾリスさんが僕たちの生乳でチーズを作ってくれると聞いた時は純粋に面白そう!!と思いました。出来上がったチーズはとても美味しくて、家族も美味しいと喜んでくれて。消費者さんからも直接ではないですけど「反応」は見えてくるんです。それが新鮮で面白いです。
またエゾリスさんと関わってから自分で販売することに興味が出てきました。これからは牛肉ブランドを作って売っていきたいと考えています。エゾリスさんから営業販売の経緯などを聞いているうちに刺激を受けて、自分も酪農以外の『事業』や『経営』に興味を持ち始めました。」一見クールな印象の関口さんですが言葉の要所要所に情熱を感じます。
新得町で酪農をされている理由も話してくださいました。
「もともとサラリーマンとして新得町で就職したのですが様々な酪農家さんを回っているうちに自分で独立したいと思い始めました。離農する酪農家さんがいることを知って就農を決めました。新得町は新規就農の受け入れ体制があったのが良かったんです。」
ご自身の情熱と行動力で自社牧場を開業された関口さん。放牧についてのお話もありました。
「牛の健康で考えたら放牧に勝るものはないと感じています。広い土地の中で牛がスムーズに寝起きできて餌を食べられる、という当たり前のような環境が牛にとってはすごくいいんです。他の牛との接触によるストレスも少ないですし、換気状態もいいので獣医さんを呼ぶ回数も少ないと思いますよ。」
お話の最初から最後まで「牛ファースト」がブレないのはさすがでした。 幸せな環境の中、たっぷりの愛情をかけて育てられた牛。生き物と営みが上手に共存している豊かな光景が広がります。
〜 メディア掲載 〜
月刊 しゅん 2022年3月号
月刊 しゅん2022年3月号に弊社のチーズとチーズを使ったレシピをご紹介いただきました。
オンラインでお読みいただけます(→eBook5 )
スロウ70号(2022.2.8発売)
スロウ70号 「北のチーズは、脈々と」にて、エゾリスチーズについてご紹介いただきました。
道内の各書店、オンライン書店(→こちら)でお買い求めいただけます。